バレエについて
  
 
 バレエは、授業ではコッペリアロミオとジュリエット白鳥の湖春の祭典をとりあげました。
以下PDFは12ページがありますが、内容は以下のようになっています。

(1)バレエの歴史とマイムについて(おまけ)
(2)
☆マイムの紹介とコッペリアのあらすじ
(3)
☆ロミオとジュリエットのあらすじ
(4)
☆コッペリアとロミオとジュリエットのワークシート
(5)コッペリアの詳細な筋(おまけ)
(6)ロミオとジュリエットの詳細な筋(おまけ)
(7)6のつづきとプロコフィエフの紹介(おまけ)
(8)7のつづき(おまけ)
(9)
☆白鳥の湖のあらすじ
(10)
☆白鳥の湖のワークシート
(11)
☆春の祭典の紹介とあらすじ
(12)
☆春の祭典のワークシート

資料にはおまけがありますが、「実際に授業で使用したものは☆」になります。

バレエの授業資料 pdf版

おまけの三角帽子
 
マイム
バレエには言葉がありません。「マイム」というセリフの代わりの動作が古くは決まっておりました。今では使われるものが限定されてるようですが、知識をもってみるとバレエがより楽しくなります。
「あなたを愛しています」「あなたと結婚を誓います」「いやです」「踊りましょう」などというマイムは、バレエの中でよく現れます。知っておいて損はありません。(資料pdf参考

 
 ロマンティックバレエとその後のバレエ(簡単な歴史)

バレエは古くから存在しておりました。モーツァルトもベートーヴェンもバレエ曲を書いています。しかし楽譜と違ってバレエは記録が残りにくいので、古いバレエがどう踊っていたかはほとんどわかりません。

19世紀になり、バレエが市民へのものとなり、「ジゼル」などの作品があらわれ、バレエシューズもでき、フランスを中心にバレエの技術が各段に進歩していきました。この時期をロマンチックバレエと呼びます。しかし一時期盛んであったバレエはその後ヨーロッパでは急速に飽きられて衰えていき、小さな小屋での「踊り子のショーダンス」というような扱いとなっていきました。
しかし文化の後進国であったロシアでは逆にバレエが遅れて盛んになっていき、その影響で一時衰えたヨーロッパでまたバレエがよみがえります。チャイコフスキーの力も大きく影響しました。この時期を「クラシックバレエ」と呼び、ロマンチックバレエと区別することもあります。一般的には、近代以外のバレエをクラシックバレエと呼ぶこともあります。

やがて20世紀になり、ディアギレフがロシアンバレエ団(バレエリュス)を興業し、その依頼で近代的なバレエが作られていきます。中でも春の祭典の初演は歴史にのこる大事件となりました。ロシアンバレエ団は20世紀以降のクラシック音楽を豊かにしましたが、ロシアンバレエ団はかなり革新的でしたので、かならずしも今にのこっている作品ばかりとはいえません。
(ロシアンバレエ団はロシアではなくパリで活動していました。)

 
コッペリア (あらすじなど詳細はPDF資料で)
コッペリアはロマンティックバレエの代表作です。原作はE.T.A.ホフマンの小説「砂男」で、「怪奇」「幻想」「夢」の作品です。(原作は岩波文庫、光文社文庫で読めます。)

オッフェンバックのオペラ「ホフマン物語」の一部でもこのストーリーが使われていて、オペラの中では
自動人形のアリアを歌います。岩波は短編集です。

バレエではオペラや原作の持つ暗いイメージを取り除き、お茶目な村娘スワニルダが活躍する楽しい作品です。授業では、冒頭のマズルカとコッペリウスの家に村娘達がしのびこんでいたずらするシーンを見せました。使ったDVDはコヴェントガーデンのロイヤルバレエのもので、主役のリャーン・ベンジャミン他の踊りや所作が大変魅力的で間違いなく楽しいです。
ここに、授業版よりすこしだけ長いあらすじとホフマンについてをあげておきます。
 
ロミオとジュリエット(あらすじなど詳細はPDF資料で)
プロコフィエフの近代のバレエです。多くの方はロマンティックバレエ=バレエと考えているので、コッペリアとロミオとジュリエットを見ると衝撃を受けるようです。バレエが登場人物の心情を表現する芸術に変わったということでしょう。

使ったDVDはパリオペラ座バレエのもので、鋭角的な演出が音楽に映えて、見るものを縛り付けるような迫力があります。授業では「モンタギュー家とキャユレット家」と「ジュリエットの墓の前のロミオの部分を見ました。ロミオが絶望して舞台をのた打ち回るシーンは圧巻でした。


授業外用につくった長めのロミジュリの解説ものせておきます。(Word版)

 
白鳥の湖 (あらすじなど詳細はPDF資料で)
よく知られたこのバレエも全曲は知らない方も多いと思います。

この作品は不評の初演後、演出の工夫が成功を生んでいった過程があります。その中で黒鳥と白鳥の一人二役や32回転(グランフェッテ)などが考えられていきました。

この作品の演出にはそもそも「悲劇」と「ハッピーエンド」の2通りのエンディングがあります。悪魔に王子が敗れ、白鳥も命を絶つが、「二人の愛は死後に永遠に結ばれる」または「二人の死が悪魔を敗り悪魔も死んでいく」となるのが本来の筋ですが「悪魔が滅び、二人生きて結ばれる」という演出もあります。

私はアメリカンバレエシアターのものとパリオペラ座バレエ団の2つのDVDを見せましたが、エンディングだけでなく演出の姿勢も大きく異なります。

アメリカンでは全体がきわめて短縮されており、劇の進行が速いです。また仮装?がわかりやすく、悲劇のエンディングもわかりやすい。悪魔はヒーローショーの悪役みたい。
パリオペラ座は新解釈で、「王子は黒鳥と結婚の約束をした、その裏切りは取り返しがつかない。悪魔は勝利し王子は絶望の中で死ぬ」というエンディングで、また王子の家庭教師=悪魔で全編にわたって流れを握っているという設定です。

そもそもパリオペラ座は象徴的な舞台や衣装で、そのあたり欧州とアメリカのスタイルの違いでもあります。

パリオペラ座のエンディングは解決しないもやもやが残るのですが、逆に印象深いという意見もありました。授業では2つの演出のエンディングを見て、その他は組曲などで有名な曲を見ました。

左がパリオペラ座、右がアメリカンシアター


ここに総合の授業とは別に「白鳥の湖」を吹奏楽部の為に作ったファイルも提示しておきます。
 
春の祭典 (あらすじなど詳細はPDF資料で)
春の祭典ではモーリス・ベジャールの演出が日本でも上演されており、その版では「性」が重視されています。

で、2008年に初演時の演出や衣装を復元した上演がマリインスキー劇場で行われました。
この映像は初演時の驚愕や混乱を彷彿とさせてくれました。

バレエの全曲の時間は短いので全曲をみせましたが、生徒の反応はとても激しく
「こんなバレエや曲を考える人は何を考えているのだ」
「こんなのバレエじゃない」とか多数でした。

余った時間で、メイキング映像を見せると、子供の踊りのようにめちゃくちゃに踊っているプリマが大変な練習をしてることや、舞台を整然とするために舞台に「場見り」のテープの線がたくさん書いてあることなどわかり、また違う感想もあるようでした。

このバレエのDVDは多くの方に見て欲しいDVDです。しかし解説が英語しか英語の字幕もない箇所もあって、わかりにくいのが残念です。もっとバレエのファンが声をあげていかないといけないと思います。
これが「春の祭典」の初演の再現実演のDVDです。ベジャールとはかなり違います。


 
 <バレエについて、バレエのDVDについて>
バレエは舞台芸術の中でもやや特異な舞台芸術ではないかと思います。

バレエにはセリフや歌詞がありません、従って言葉がわからくても通じる反面とても複雑な劇はできません。上記に書いたクラシックバレエ以降、「踊りの部分」は劇の進行とは別の踊りの部分となり、劇の進行は「マイム」で踊りと踊りの間をつなぐようになっていきました。

そのことをみて、バレエがオペラなどよりも劇的に子供向けと考えるのは狭い考えで、筋よりも踊りが重視されてきた、と考えなくてはいけません。
筋とは関係ない「舞踏会」とか、「お祭り」とかそういうシーンでは、踊りを楽しめば良いのです。近代ではバレエは筋そのものを否定するようなバレエも存在しています。

バレエではその特質を理解した台本や演出が大切になります。歴史に残っている定番の演出はそういう点がとてもよく考えられています。また曲の入れ替えや省略などもかなり許されている芸術であるのも特徴といえると思います。(踊りの都合や演出の都合が優先なのです)

また、鍛えられた肉体での舞踊のテクニックを見るのは大切なのですが、テクニックだけでは体操やサーカスになってしまいます。踊りのテクニックだけでなく、
その瞬間のその役の心情、たとえば悲しみとか嘆きとか喜びとかそういうものを舞踏で表現できているかどうかをみることが、バレエの鑑賞の本質ではないかと思います。

日本はバレエ大国のようですが、日本ではまだバレエの鑑賞については、オペラよりも「観客」の側の知識などが不十分なのではないかと思います。

DVDでバレエが
細かいトラックがなかったり、解説書や字幕が不十分だったり、そもそも「バレエのレッスンのためにだけ」に作って売っているくらいの内容や売り方が多くて非常に残念に思います。バレエのDVDの売り場がよくわからないこともしばしばあります。バレエのファンはもう少し声をあげていかないといけないと思います。

 
ここに授業とは別に石井が作った三角帽子のファイルものせておきます。

ついでに その他のバレエのDVD他を紹介しておきます。
●「赤い靴」 これはアカデミー賞2部門とった映画で、中でバレリーナが劇中劇でおどるシーンが有名で、「新聞紙と踊るシーン」として知られています。イースデイルの音楽も秀。

●「三角帽子」 Picasso and Danceとして売られていますが、ピカソの没後20年として、初演の衣装や振付を1993年パリのオペラ座が再現したライブ。バレエリュスの時代が鮮烈によみがえります。

●「火の鳥」 これもバレエリュスでストラヴィンスキーの出世作。私はコヴェントガーデン王立歌劇場のリャーン・ベンジャミンをおすすめしておきます。「結婚」も一緒になっています。

●「くるみわり人形」 組曲だけ知っているのでは残念。組曲以外にも名曲がたくさんあります。私はゲルギエフ マリインスキー劇場のDVDを見てます。

●youtubeで検索すると「ペトルーシュカ」や「白毛女(バレエ版)」なども見ることができます。
 
 ひとつ戻る   オペラへ  現代演出論へ ミュージカルへ 舞台芸術論 TOPへ戻る  
inserted by FC2 system