ミュージカルについて
  
 
ミュージカルはウエストサイドストーリー雨に唄えば を授業ではとりあげました。

ミュージカルの資料PDFは13ページありますが、内容は以下のようになっています。

(1)
☆ミュージカルとは何か、ウェストサイドストーリーあらすじ
(2)
☆ウェストサイドストーリーの人物関係図
(3)
☆ウェストサイドストーリーのワークシート
(4)ウェストサイドストーリーのキャスト、吹き替えに関する件 Wikipedia引用
(5)ウェストサイドストーリーの音楽ナンバーの一覧他をインターネットからの引用
(6)〜(10)つづき
(11)ウェストサイドストーリーの映画のDVDのチャプター
(12)
☆雨に唄えばのあらすじ、雨に唄えばの映画について、石井のミュージカル論?
(13)
☆雨に唄えばのワークシート

実際に授業で配布したものは、☆でその他は参考資料
ミュージカル参考資料PDF

ミュージカルについて

 
ウエストサイドストーリー(あらすじなどは参考PDF資料を参考)

20世紀の中頃、ミュージカルではR.ロジャース(サウンドオブミュージック1959)、フレデリックロウ(マイフェアレディ1956)などが知られていて、いずれも甘美なメロディを中心にしたわかりやすい大衆向けの作品であった。

1957年当時39才の異才バーンスタインは(ピアニスト、作曲家、指揮者としても活躍,20世紀のモーツァルトとも呼ばれた)ミュージカルに新しい波を作り出した。これがウエストサイドストーリーである。この作品の中には大衆向けの曲も含まれているが、複雑なリズムや不協和音、ジャズの活用など斬新な内容がみられる。上記のサウンドオブミュージック(ドレミの歌、私のお気に入り他が有名)が書かれた年とくらべるとその斬新性はあきらかであろう。

PDF版にロミオとジュリエットとの対照人物関係が書いてありますが、同バレエを見せてからこのミュージカルをみせたので、そのようにしてあります。

ウェストサイドストーリーでは
「ジェット団とシャーク団との冒頭あたりの抗争」「マンボ〜二人の出会い、トニーの「マリア」まで」「アメリカ(プエルトリコという歌いだしの曲)」「(下記に書いた5重唱の)トゥナイト」「クール」「最後のマリアの台詞『あなたもあなたもあなたもトニーを殺したのよ』という場面」をみせました。

「トゥナイト」のメロディは大衆向けのように思えますが、DVDトラックの23番、2回目の「トゥナイト」をつかった5重唱は、オペラでよくある「アンサンブルフィナーレ」の技法で書かれていてすばらしい。(トゥーランドットの第1幕のフィナーレで、それぞれの歌手が異なる自分の心境を異なる歌詞で同時に歌うアンサンブルとか)

映画ではトニーとマリアに加えてリフやアニタまで吹き替えなんですが、まあそういう時代だったのでしょう。pdfの参考資料に手書きの書き込みで、リタモレノはアカデミー、トニー、グラミー、エミー賞の全部を獲得したとメモが書いてありますが、そんな後のトップクラスの女優歌手ですら、当時吹き替えだったのです。

当時はGパンに伸びる素材などはなかったようで、練習中によく破けて困ったとかいう話もエピソードです。ナタリーウッドの死の謎?とか、サイボーグ009の第1巻の冒頭の002のところとかが映画の冒頭とか、その他話題はたくさんあります。

社会の底辺層の争いに、黒人がでてこないのは逆に変なのですが、黒人と白人の争いにしてしまうとかなり現実味を帯びてしまうので、、あえてヒスパニックと白人の貧困という争いという設定にしたのでしょう。


参考資料よりも長いあらすじや背景など(一番長いもの) word版
参考資料よりも長いあらすじや背景など word版


 
雨に唄えば(あらすじなどは参考PDF資料を参考)

「雨に唄えば」では「メイクエムラフ」「撮影所で古くさいシーンの撮影(ちょっと筋を追うため)」「モーゼスモーゼス」「モーニングモーニング」「雨に唄えば」「カーテンコールで吹き替えがばれてしまうあたりから二人が仲直りするあたりまで」を見せました。

1952年という古い映画ですが、ジーンケリーもドナルドオコナー、デビーレイノルズも歌も踊りも最高に素晴らしく、大好評でした。

MGMの全盛期では
「パリのアメリカ人」が、全体には充実していると思いましたが、踊りの長いシーンも多く、「マイフェアレディ」はちょっとわかりにくい部分もある、「サウンドオブミュージック」は大抵1回くらいはみてしまっているのではないか、など考えて、曲も比較的知られていて全体に親しみやすく踊りは最高な「雨に唄えば」を選びました。


脱線 参考資料PDFに新曲?と書いてある「メイクエムラフ」ですが、映画「踊る海賊」の中でジュディガーランドが、違う歌詞でうたっていて(これは素晴らしいです)、パロディ?いや同じ曲ではないかなと思います。
 
ミュージカルについて(歴史と特徴)>

ミュージカルとは、「音楽と芝居と踊りを加えた総合芸術」というあたりは問題ないと思います。

しかしながら、どこからミュージカルになるのか、子供が小学校などでやっている歌入りの劇はミュージカルなのか、歌謡ショーに劇がはいったらミュージカルなのか、すべてなんでもミュージカルとすると、相当の幅をもつ芸術ということになります。その幅は「
歴史的な成立過程」「使われている音楽」「庶民性」などの観点から考えていくことができるでしょう。

ミュージカルの成立の歴史的な流れですが、いろいろの要素があると思います。
オペラ→オペレッタ→ミュージカル という流れでは、格式が高く王や貴族の娯楽として作られていたオペラが庶民のものとなるにつれて、自国語のセリフや歌詞の歌劇として、だんだん庶民化していったものがオペレッタ、その流れに踊りの要素が加わったものがミュージカルとなります。

また、19世紀にアメリカで流行していた、ミンストレルショウ(白人が黒人に扮して演じる簡単な歌と踊りのショウ)やヴォ―ドビルが(品の良くないものも含む)発展し、ミュージカルになったとも言えます。

また、ミュージカルに用いられている音楽はオーケストラによるクラシック的なものから、ジャズ、ポップス、ロックまで幅広く特に定まった形もなく、20世紀後半からはディズニー他を中心に、アニメのミュージカルもあって、さまざまの要素を含んでいるといえるでしょう。

そのような歴史的な経緯と格式にこだわらない
「庶民のための舞台芸術」という点から、ミュージカルが、オペラやバレエよりも一段と現代的であるといえるわけで、ミュージカルは時代設定も現代だったり近現代だったりするものも多く、政治や権力にたいする批判や人種や人権、宗教などへの批判なども受け入れやすいジャンルではないかと思います。

舞台芸術である以上、舞台での上演が主であるのですが、映画化されてから人気がでるものなども大変多く、歴史的に残っている名画も多くあります。授業での性質上DVDの入手の易しさから、映画化されたものでの取り扱いになっていますが、その点はご了解ください。

「シェルブールの雨傘」など最近見返してみましたが、映像にも独特の魅力があり雰囲気も素晴らしい「映画」なのですけれども、さてミュージカルが映画化されたものなのか、映画の表現のひとつとして音楽を使っているミュージカルなのかちょっとなんとも言えないかと思います。

また、下記にもあげてありますが、「ショウボート」「南太平洋」「王様と私」「サウンドオブミュージック」など、ストーリーに「影」というか奥行のあるものも多く、じっくりみるといろいろなメッセージが伝わってきます。「シェルブールの雨傘」でも戦争の影がストーリーに流れています。

いまや日本でも「劇団四季」を始め、ミュージカルの上演の機会が多くなっていますが、日本オリジナルで世界に発信しているところまでにはあと一歩かと思います。

日本映画でもかなり古い「歌う狸御殿」から「クレージーキャッツのもの」など、意外に古くからミュージカルというジャンルはあるのですが、「舞子はレディ」「恋に唄えば」とかご覧いただき、日本のミュージカル映画を俯瞰していただきたいと思います

 
私のおすすめのミュージカルのDVDを紹介します。皆さんご存じのものとあまり知らないものもあるかと思います。ちょっと紹介もつけてみました。

「パリのアメリカ人」ジャケットをみてもわかるが、本格的な踊りの指向が見られる。ラストの20分のジーンケリーの独り舞台は圧倒的。

「踊る海賊」 が含まれている「海賊映画コレクション」。全然海賊映画ではないですけれどもね。右のジュディガーランドは「オズ」から9年経っていて、薬物問題などで相当ギリギリで撮影したらしいです。私にはあまり問題あるようにも見えないですけれども・・

「サウンドオブミュージック」 ザルツブルクの紹介のような映画。1990年頃に行ったザルツブルクでは「地元ではあまり知られていない」ということだったが、今では変わっただろうか?とにかく歌とロケが素晴らしい。今みるとちょっとステレオタイプの内容の筋も気になるが。

「マイフェアレディ」オードリーヘップバーンが美しいが歌は吹き替え。全体にイギリスの習慣とか下地にあり、ストレートにはわかりにくい箇所もある。でも名曲ばかりの映画で楽しい。「踊りあかそう」が有名。

「踊る大紐育(ニューヨーク)」ON THE TOWNでも知られている。曲はバーンスタイン。ジーンケリー、フランクシナトラとか歌も踊りもすばらしい。筋はお気楽。

左「私を野球につれてって」右「錨をあげて」。上と同じシナトラとジーンケリー主演。筋と中身はドタバタだが歌と踊りは最高。曲はバーンスタインにはかなわないが。

「南太平洋」南の島に逃げてきたフランス人が米軍に協力して日本軍と戦うというストーリーだが、現地人への差別とかのメッセージも込められている?。とはいえ、全体に筋はなんだかなあという部分もある。「バリハイ」とか「魅惑の宵」とか曲が有名な割には見たことない人も多いかも。

「ショウボート」20世紀の前半ミュージカルの古典「オールマンリバー」が有名。人種問題も提起。

「レミゼラブル」当然の人気作。間違いない傑作だが、とても筋は重たいなあ。

「学生王子」20世紀初頭ジェロームカーン、ガーシュイン、コールポーターと並んで人気があった作曲家が、ジークムンド・ロンバーグ。クラシック風のロマン的なメロディが心を打つ。映画ではマリオランツァが主役の吹き替え。輸入もので英語の字幕しかないが、曲は楽しい。
「学生王子のセレナード」が有名。学生王子のあらすじ他

「恋に唄えば」。優香(ほとんど歌はないが)と竹中直人が主演のミュージカル映画。どたばたした筋だが、日本の舞台人たちのすばらしい踊りがあったりする。

「オズの魔法使い」ジュディガーランドが子役だが演技も歌も天才的な魅力をはなつ。いろいろ深いメッセージも伝わってくる。「虹のかなたに」は有名。子どもむけとあなどってはいけない。

「アナと雪の女王」アニメとはいえ、きちんとした歌と踊り?が皆を引き付けた。エルザとアナのの成長過程がすばらしい。わき役も最高で人気がでるのも当然。

ティムバートンでは「コープスブライド」はミュージカルアニメ、「シザーハンズ」や「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」はミュージカルとまでは言えなかもしれないが、独特の詩情が映像美と重なってすばらしい。


その他 SING/シング シェルブールの雨傘 なども注目

PS ポーギーとベスはオペラのページ

 
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